いつかの花。
「入鹿殿は昨年、山背大兄王ら上宮王家の人々を自殺に追い込んだんだ」
やましろのおおえのおう。
なんとなく、話の流れから彼らは偉い人たちなんだと察する。
そんな人たちを、自殺に……。
自分の手は汚さず、相手を死に至らしめる。
なんて、残虐なこと。
ひどい。
そんなことが許されるだなんて、現代じゃ信じられない。
「山背大兄王は、古人大兄皇子にとっては皇位継承するまでの難関の一つだからね。潰しておきたい、とでも思ったんだろう」
「つぶす……」
「蘭花ちゃん、それが朝廷なんだよ。醜いことばかり。綺麗ごとなんて、片手があれば足りるんだ」
現代の政党とか、汚職とか、そんなニュースを聞いて、『政治って汚いな~』と思った。
けれど、政治というのはいつの世でも同じ。
相手を潰して、自らが伸し上がる。
そうでなければ、こちらが潰される。
それが、まつりごと。