カラフル
2
その夜、珍しく吉本からメールが来た。吉本とは話すけど、メールはよっぽどじゃないとしない。メールだとどうも話が続かないのだ。
『原因はなんだぁ?』
『だから無いって』
『嘘だな。俺は騙されないよ』
『だから、何度も言うけど無いって!!』
朋美は返信すると、由紀から借りた漫画を読み始めた。
プルル。しばらくすると電話の着信音が鳴った。画面を見ると、吉本からだった。画面を見て心臓が飛び出そうになる。
「•••もしもし?」
一呼吸置いてから電話に出た。
「あっ、もしもし?今大丈夫か?」
「大丈夫•••だけど。」
「オッケー。お前がメールがいいって言うならメールでいいんだけど、どうもメールって俺好きじゃなくてさ。電話しちゃった方がって。」
「電話で全然構わないよ。」
(というかむしろ電話の方がいい)
「でも、通話料大丈夫?家電からかけようか?」
「大丈夫だよ。そんな長く話すつもりないし。」
朋美は長く話すつもりないという言葉が少しショックだった。
「で、用は何?」
「わかってるだろ。原因はなんだよ」
「またそれ?っていうかそれ聞く為だけに電話してきたの?」
「そうだよ。何か悪いかよ?」
「悪くはないけどさ。なんでそんなに気になるの?」
「•••秘密」
"秘密"その言葉に朋美はドキっとする。
「そんなことより原因はなんなのか教えろよ」
「ヤダ。教えない」
「ふーん。でもやっぱり原因はあるんだな。嘘つき朋美。」
「だって吉本しつこいんだもん。」
「まぁ、いいや。何かあることはわかったし。じゃあ、そろそろ。いつか原因は何か聞くから。」
「えっ?あっ、うん•••。」
(もう通話終了?)
「じゃあな。」
ブチッ。朋美がじゃあねと言う前に電話が切れた。