キミだけをずっと
鏡の前に立ち、両手を洗面台につけた
「ここまで来たんだから…」
トイレから出ようとした瞬間、携帯のマナーモードが震えだした
携帯を取り出し、メールを見ると…
璃沙 杏里 紗良
三人からそれぞれメールが来ていた
[ 受信:田崎璃沙 ]
”佐野と同じ大学に行きたいのなら、目の前にあるペラペラの紙切れなんかに負けるな!“
[ 受信:酒井杏里 ]
”うちね、何件も神社に回ってお参りしまくったから合格間違えなし♪“
[ 受信:宮坂紗良 ]
”今まで徹夜してまで勉強したんでしょ?頑張ってよ!!“
どれも元気づけられる言葉が綴られていた
一緒に競い合い、励ましあった仲間を誇りに思った
「仲間っていいもんだね…」
携帯の電源を切りバックにしまった
洗面台に置いていた受験票を手に取り、トイレから出て行った
だが行く途中で受験票と一緒に挟んでいた大樹との写真ごと、スッと落ちたことに全く気付きもしなかった