キミだけをずっと



受験票と大樹との写真ごと落としたのに全く気付かず、トイレから出て真っ先に教室へ向かっていた


廊下の窓から吹く風がなびいて邪魔だった横髪を、耳にかけた時だった




「あの!」



後ろから誰かを呼び止める声がしていた


周りには沢山の受験を控えた学生がいて、まさかそれは私ではないと思っていた



「あの!」



背後からどんどん声が近くなっていく


フッと後ろを振り向いた



「あの、橋口愛美さんですか?」



ハッキリと私の名前を叫んでいた


そこにはスッと背の高い男性が立っていた


彼は一歩ずつ私に近づいてきた


彼の手には見覚えがある受験票を持っていた








< 151 / 221 >

この作品をシェア

pagetop