キミだけをずっと
受験票と大樹との写真ごと落としたのに全く気付かず、トイレから出て真っ先に教室へ向かっていた
廊下の窓から吹く風がなびいて邪魔だった横髪を、耳にかけた時だった
「あの!」
後ろから誰かを呼び止める声がしていた
周りには沢山の受験を控えた学生がいて、まさかそれは私ではないと思っていた
「あの!」
背後からどんどん声が近くなっていく
フッと後ろを振り向いた
「あの、橋口愛美さんですか?」
ハッキリと私の名前を叫んでいた
そこにはスッと背の高い男性が立っていた
彼は一歩ずつ私に近づいてきた
彼の手には見覚えがある受験票を持っていた