キミだけをずっと



「おかしいな…」



両手を腰に当て、一人でぶつぶつと独り言を呟きながら女子トイレを出ると


偶然にも私の受験票を拾ってくれたあの彼が男子トイレから出てきて、ばったりと会った



「あ!」 「…あ」



二人でハモってしまった


一度下を向き、顔を上げ彼に話し掛けた



「さっきはどうもありがとう。…一つだけ、聞いてもいいですか?」


「な、何?」



彼は口をポカンと開けたまま、私をじっと見ていた



「受験票を拾った時に、男女で写った写真も挟まってなかったですか?」


「…いや、見てないけど。力になれなくてゴメン」


やっぱり写真の手がかりが摘めず、肩を下ろしガッカリした



「ありがとうございます…」



彼にそういうと、重い足を上げトコトコと歩いて彼に背を向けた




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