キミだけをずっと



私が去った後、彼は立ったままで壁に左腕を置いた



「…ふっ」



鼻笑いをしてポケットに手を突っ込み、右手に写真を持っていた


それは、私と大樹が写った写真


彼は私が去った方に顔を上げ、また写真を見つめた



「へぇ〜、なるほど…」



黙ってまたポケットにしまい、男子トイレを後にした




その頃、私はというと…


バス停で一人で立っていた


さっきから落ち込んでばかりだった


写真意外、何も考えられてなくて…


悔しくて…


下を向いて、不意に顔を上げて空を見ていた時だった


急に私の視界が暗くなり、両目に手が塞がった



「だぁ〜れだ!」



どこかで聞き覚えがある低い声に、案外肉厚でゴツゴツした手


まさか…





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