キミだけをずっと
…あれから10年
両親が海外から転勤を終えて久しぶりに日本に帰国した。
「久しぶりの日本だぁ!」
空港から出て日本の空気を大きく吸った。
車で移動してやってきたのは、10年前に住んでいたあの2階建ての一軒家だった。
「この家も久しぶりね」
お母さんも懐かしかったみたい。
兄の悠真は日本の大学に進学する為、一度帰国して先にこの家に一人暮らしをしていた。
鍵を開けて玄関を開けた。
「お兄ちゃんただいま〜」
「おぉ母さんたち来たか!」
ビックリした顔でお兄ちゃんがリビングから出てきた。
久々に家族みんなが揃った夕食でワイワイと賑やかだった。
すると隣に座っていたお兄ちゃんが、私に話しかけてきた。
「あ、そうだ。明後日からお前学校だろ?」
「そうだね!」
「西高の制服届いてたぞ」
私の部屋に制服をハンガーにかけてくれてたみたい。
たまにお兄ちゃんは優しいことをする。