キミだけをずっと
運動場から杏里達に手を振っていると
「おぃ」
手を振っていた右手を大樹に捕まれた。
すぐに大樹から腕を解放され、大樹と向き合った。
「しっかりバトン渡せよ!」
「はーい♪」
すると私の頭を大樹がポンポンっと撫でた。
きょとんとしていた私に大樹は爽やかな笑顔で
「お互い頑張ろうな!」
「うん♪」
そうしている間に璃沙は走り出した。
最初は3位だったが、二区の雄大が2位に上がった。
「雄大!!」
ゾーンの中で雄大のバトンを待っていた。
大樹は腰に手を置いて真剣な眼差しでコーナーを見ていた。
雄大からバトンを受け取り、目の前にいる他クラスの女子の背中を追った。
100mのところでスピードが落ちた前の女子を抜こうとすると、その女子も粘って肩を競っていた。
もう目の前には大樹が待っていた。
手を挙げて待っていた大樹にバトンを手渡した。
一位争いで大樹は走り出した。それは風のように…
あっという間に大樹は一位になり、ゴールテープを切った。
「やったー!!」
璃沙と抱き合って喜びあった。