キミだけをずっと



「俺さ、大樹のこと何でも知ってるから何でも聞いて!」


「え、本当?」


「おぃ、荒川!」



大樹は少しイライラした面持ちで荒川くんを睨んでいた。



「またー、佐野のカッコイイ顔が台なしだろ?」


「何がだよ」



ヤバい…男子の喧嘩に巻き込まれそう。


後ずさりしていた私に気付いた大樹は私の腕を掴んだ。



「行くぞ!」


「ちょちょっと…」



校舎の裏を私の腕を掴んで走る大樹。



「大樹!」



名前を呼ぶと大樹は走っていた足を止めて、腕は掴んだまま



「ねぇ、何で荒川知ってんの?」


「あぁ、この前杏里と図書館で勉強してたら学習室で見かけた、ただそれだけだよ?」



するとその腕を用具室の壁に押し付けられた。


ひんやりと冷たい壁が体に伝わってくる。





< 52 / 221 >

この作品をシェア

pagetop