キミだけをずっと
「俺さ、大樹のこと何でも知ってるから何でも聞いて!」
「え、本当?」
「おぃ、荒川!」
大樹は少しイライラした面持ちで荒川くんを睨んでいた。
「またー、佐野のカッコイイ顔が台なしだろ?」
「何がだよ」
ヤバい…男子の喧嘩に巻き込まれそう。
後ずさりしていた私に気付いた大樹は私の腕を掴んだ。
「行くぞ!」
「ちょちょっと…」
校舎の裏を私の腕を掴んで走る大樹。
「大樹!」
名前を呼ぶと大樹は走っていた足を止めて、腕は掴んだまま
「ねぇ、何で荒川知ってんの?」
「あぁ、この前杏里と図書館で勉強してたら学習室で見かけた、ただそれだけだよ?」
するとその腕を用具室の壁に押し付けられた。
ひんやりと冷たい壁が体に伝わってくる。