キミだけをずっと



学校も放課後になり、家に帰った。



「ただいま〜」


「おかえり愛美。お風呂入りなさいよ〜」



風呂を浸かっていると、今日のことを思い出した。


大樹の案外広い背中や胸板にドキドキしたこと。


低くて甘い声で耳元で囁かれたこと。


腕を捕まれたり、肩を寄せ合って走ったこと。



初めてのことばかりで、何個心臓があっても足りないよ。



いつの間に大樹は成長したのか。


そして友達からもっと違う意味で…恋心。


ん〜、どうなんだろう。




風呂から上がり、髪をタオルで拭きながらリビングへ入ると、台所でお母さんが何かを準備していた。



「何してるの?」


「あ〜、これを大樹くん家に持って行ってくれる?」


「別にいいけど…」



お母さんからは、果物が入ったビニール袋を手渡された。


急いで私服に着替えて、家を出た。



大樹の家は隣。


近いな〜




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