キミだけをずっと
フッと笑った笑顔で私に少しずつ近づいてくる
「まだ帰ってなかったの?」
「俺も忘れ物してさ」
自分の立ち位置から見える雄大の机を見ると、中には置き勉で溢れていた
「何忘れたの?取ってあげようか?」
「んじゃ〜、数学の教科書!」
雄大に苦笑いをして、雄大の机の中に手を突っ込んだ
「あれ?無いよ…?」
積み重なった教科書やノートを何度確認しても無い
「無いよ!バックの中に入ってるのかもよ?」
「かもな!」
席から離れ、扉へ向かう
「じゃあ先に帰るね」
扉の前で立っていた雄大の横を通ろうとした
「ちょっと待った」
低い小声がして足が止まり、目の前には雄大が扉の縁に腕を置いていて通れなくなった
「ちょっと、早く帰りたいんだけど…」