キミだけをずっと


追憶 -Side 大樹-


「あ!」


「どうしたの?」



いきなり立ち止まった愛美に俺も立ち止まった



「教室に赤本忘れた…。取って来るから、大樹先に行ってて!」



焦っているような顔で俺の腕を叩いて愛美は走って教室へ戻っていった



「…おぃ!」



呼び止めたが案の定返事はなし


ここで突っ立っていたてもあれだから、靴箱へ向かった



靴箱の傍には自動販売機があって、そこでパックのコーヒーを買おうと尻のポケットから財布を取ろうとすると



「おぉ〜佐野、じゃあな」

「おぅ、明日な!」



隣のクラスの藤村が声をかけてきた



藤村瑞貴(ふじむらみずき)

普段から仲は良く、藤村はバレー部でたまに体育館で会ったりしてたけど


引退してからは顔を合わせることがなかった





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