キミだけをずっと



「あ、そうだ!」



私から去ろうとしていた璃沙が足を止めた


そして私に振り向いた



「雄大はともかく、佐野はいいの?」


「え?」


「佐野と昨日のことについてまだ誤解のままなんじゃないの?」


「誤解…」


「誤解されたままモヤモヤした気持ちで卒業してもいいの?」



璃沙の真剣な目を見つめ返す私


璃沙の言うことはすべて正しいと思う


ごたごたした関係でスッキリとした卒業なんてできない



「私も頑張るから、愛美も頑張ってよ!」


「うん」



私と璃沙はお互いクスッと笑い始めた



その時、階段を誰かが上ってくる足音がした



「璃沙!」






< 99 / 221 >

この作品をシェア

pagetop