恋するホイッスル☆~サッカー少年へ~
「…そっか。サンキュ」
ニカッと笑う佐野くんに安心する。
「いつもここで自主練してるの?」
佐野くんの笑顔に心臓バクバクしてるのを隠すように話題をそらす。
「いや、今日はここなだけ」
「どうゆうこと?」
「木を相手にディフェンス抜くイメトレを兼ねた練習だから」
いつもはシュート練習だけどたまにこの練習してる、と持参してたドリンクを飲みながら教えてくれた。
「いつも思うけど、佐野くん本当に楽しそうにサッカーしてるよね」
「楽しいからな」
よいしょ、と立った佐野くんの右足にはサッカーボール。
「…やるか?」
「∑…うんっ!!」
見てると簡単そうなのに、実際にやると難しい。
蹴れなくてスカって何回も転けた。
転けるたび佐野くんが心配するけど、佐野くんが楽しそうにサッカーする理由が分かるから自然と笑顔になる。
「サッカーって難しいけど、すっごい楽しいね!!」
「……あぁ」
佐野くんも笑って、私を引っ張り起こしてくれる。