white snow.




「……」


「……」


「さて、いっくん!」


嬉しそうな顔しやがって。

俺が“スケート出来ない”って分かったことがそんなに嬉しいのか?


「あたしたちはやっぱり別の所に行こう!」


「まおは滑って来れば? 俺、ここで見ていてやるから」


まおが滑れるなら滑って来ればいい。

こんな機会、滅多に無いと思う。


「えーっ、だっていっくんがいないと寂しいじゃん。 楽しくないもん」


嬉しいこと言ってくれるよ…… 全く。

普段からこうやって言ってくれたらいいのに。


まおはそそくさとレンタルしたスケート靴を返却しに行く。

もちろん、俺もついて行き返却する。


ゆっくり、スケート場から二人並んで遠ざかった―――。




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