white snow.




どっちでもいいけど?

まおと遊びに来れたし……。


「樹、知ってるか?」


何か含んでそうに陽太が俺を見下ろす。


「この園内のスタッフに“恋人ですか?”って聞かれて“はい”って答えると……」


答えると……?


「彼女には“バレンタイン限定ネックレス”がもらえるんだと」


「ふーん」


広い園内。 そんな声を掛けて来るスタッフがいても、声を掛けられる数は少ないと思う。


それに、だ。


「俺とまおは“恋人”じゃねーしっ」


「“嘘も方便”だと思うけどな」


“――― 嘘も方便”

見た目は常に“恋人”と間違えられる。

バレンタイン限定と言うくらいだ。

さぞかし、かわいいデザイナなんだろう。


「いっくーーんっ、早くー」


遠くで手を振っている。

まだ何も乗ってないのに、何が嬉しいのか、ずっと笑っている。




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