始まりと終わりの間
2
隆也の車には、アタシの忘れ物がいつもある。
助手席の小物入れに入れたままの、片方だけのピアスだ。
「梓、今日こそ忘れるなよ?片方だけじゃ着けられないだろ?」
「ああ…もう片方も無くしちゃったから捨てといて」
シンプルだけど色が気に入って買ったピアス。
隆也に『似合うよ』って言われたピアス。
なくするわけがない。
「梓…ちょっと停めるぞ」
路肩に車を寄せた。
「どうしたの?」
「ついてきてる」
後ろを見ると、さっきの車がいた。
「あのチャラ男!言ってくる!」
「やめろ!お前も考えろよ。相手は男だぞ」
チャラ男を一発ブン殴ってやりたかった。
せっかく隆也といるのに邪魔しやがって!
「このままだと、あの男に家の場所を突き止められるかも…」
家まで送るというのを断った事を話したら、わかったと言って車を出した。
「どこ行くの?」
「このまま帰れないじゃん、チャラ男まだいるし…」
Uターンして、アタシの家と逆方向に向かった。
そっちは隆也の家の方だ。
「待って…隆也のお母さんに迷惑かけれないよ」
「は?ああ…そっか…俺家出たんだよ。一人暮らししたんだ」
もう半年になると言う。
アタシが先に一人暮らしを始めた時、隆也に引っ越しの手伝いをしてもらった。
その数ヵ月後に隆也も一人暮らししてたなんて…
聞いてなかった。
「悪い、言ってなかったよな」
「別に謝る事ないじゃん」
そうは言っても、やっぱり一言欲しかった…
助手席の小物入れに入れたままの、片方だけのピアスだ。
「梓、今日こそ忘れるなよ?片方だけじゃ着けられないだろ?」
「ああ…もう片方も無くしちゃったから捨てといて」
シンプルだけど色が気に入って買ったピアス。
隆也に『似合うよ』って言われたピアス。
なくするわけがない。
「梓…ちょっと停めるぞ」
路肩に車を寄せた。
「どうしたの?」
「ついてきてる」
後ろを見ると、さっきの車がいた。
「あのチャラ男!言ってくる!」
「やめろ!お前も考えろよ。相手は男だぞ」
チャラ男を一発ブン殴ってやりたかった。
せっかく隆也といるのに邪魔しやがって!
「このままだと、あの男に家の場所を突き止められるかも…」
家まで送るというのを断った事を話したら、わかったと言って車を出した。
「どこ行くの?」
「このまま帰れないじゃん、チャラ男まだいるし…」
Uターンして、アタシの家と逆方向に向かった。
そっちは隆也の家の方だ。
「待って…隆也のお母さんに迷惑かけれないよ」
「は?ああ…そっか…俺家出たんだよ。一人暮らししたんだ」
もう半年になると言う。
アタシが先に一人暮らしを始めた時、隆也に引っ越しの手伝いをしてもらった。
その数ヵ月後に隆也も一人暮らししてたなんて…
聞いてなかった。
「悪い、言ってなかったよな」
「別に謝る事ないじゃん」
そうは言っても、やっぱり一言欲しかった…