始まりと終わりの間
もし…
さっきの話を聞いてなかったら、そのままキスしてたかもしれない…

『俺の事、好きなんだよな』

好きだよ。
幼馴染みとしてね。

男としては、つい数分前まで好きだったよ。

今は"好き"って気持ちが、どんどん無くなってる。

「隆也、アタシお腹空いたから何か買いに行くわ」

「そうか、じゃ食べに行く?」

「コンビニ行くから。タバコも切らしちゃったし」

「俺も行くよ」

隆也が車を出してくれるというので、連れてってもらう事にした。

アタシが助手席に座ると

「どうしたんだよ?ずっと隣に座らなかったのに」

と、少しビックリして聞いた。

「別に…もう吹っ切れたから」

フフッと笑って答えた。

もう、意識しなくていい。
もう、誰に見られても構わない。

隆也の考えはアタシには理解出来ないし、アタシの考えを説明しても、理解してもらえないだろう。

一緒に買い物をして、一緒に家に戻り、一緒にゴハンを食べる。

それでいい。

アタシ達は
始まりそうで終わりそうな
そんな関係でいい。
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