Re:今でも君が好きです。


『それではお一人様ずつ、前の方へどうぞ』

そんな指示が入り、告別式に列席している人達が、順に誠と最後のお別れを始めた。



『拓哉君』

俺の番になり、誠の母さんが俺に白い菊の花を渡してくれた。

俺はその花を誠の心臓付近に置いた。


『なぁ…誠。

最後の最後まで…気付いてやれなくて、ごめんな…』


なぁ…誠?
俺の声、聞こえてるか?

いつもなら、俺が何か話すと喧嘩している時だって返事してくれたよな?

たった一言でも…“あ?”とか“うん”とか…

いつも、いつも…お前からの返事があったからさ?…きちんとお前は俺の話を聞いてるんだなって分かったけどさ…

今は返事ないからさ?…お前がきちんと俺の話を聞いてるのか…俺、分かんねぇよ…


今なら“怖いよ”とか“幽霊になっても出てくんな”…とか言わないからさ…

“聞いてるよ”って…言ってくれよ…?





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