Re:今でも君が好きです。
そして誠は逝った。
みんなに優しく見守られながら…。
…その帰り道だった。
『…拓哉君?』
透き通る様な凛とした声で誰かに呼ばれた。
振り返らなくても一発で分かってしまう…懐かしい声。
『…拓哉君…だよね?』
もう一度呼ばれ、振り返ると、そこには美紀が立っていた。
この一年…必死に忘れようとしていた人だった。
『どうしたの?』
俺の顔を見るなり、開口一番に出た言葉は“どうしたの?”だった。
それもそのはず。20歳にもなったという男が涙を流していたのだから。
『誰かの…お葬式…?』
黒のスーツに身を包み、泣いているのだから…そう当てられても仕方がないのだろう…。
俺は口で返事をする代わりに首を縦に振った。