Re:今でも君が好きです。


『そうなの?

 てっきり…あんたの彼女なんだと思ったわ』


母さんは意外にも俺の言葉に驚いた様子だった。




『…違うよ』


『いや母さんさ、あんたの事聞いて、急いで病院に来たのよ。

 そしたらあの子が居てさ…眠るあんたの横で、あんたの手をずっと握ってて。

 目を真っ赤にして、あんたの事、ずっと見てたから…

 てっきり彼女なのかと思っちゃったのよね。

 歳をとると勘違いやはやとちりが多くて嫌ね』



俺は母さんから真っ白な封筒を受け取った。



『母さん…一つ頼み事言ってもいいかな?』


『改まって何よ?』


『飲み物が飲みたい』


完璧な嘘だ。

一人になる為の嘘だ。


だって…封筒の中身が分かったんだ。

封筒の中は便箋じゃない…何かのカードだ。

多分…そのカードは俺に涙を誘うもの。

母さんの前では、やっぱり泣けない…


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