星の数の恋よりも月と同じくらいの恋
プロローグ
―――乙香の目線―――
病室のベットから見えるのは外の雲…
そして、その度に想う…
恋することはどんなに
大きなことなんだろ…
出逢いは星の数ほどあるけど、
たった一つたった一人の人を
好きになることは凄いことだって
お母さんが教えてくれた
“早くそんな恋をしてみたい”
そんな期待を小さく
病室で思い描く…
「乙香《いつか》ちゃん薬の時間よ?」
「…はい」
看護師さんの笹川さんが薬を持ってきてくれた…
だけど、薬は大嫌い…
「…笹川さん、外に行きたい…」
「そうね、寒いから10分ならいいかな?
でも、一応先生にも確認するね?」
内線で担当医の竹下先生に許可をとってくれた
「笹川さん、ありがと」
「外は寒いから暖かい格好してね?
それと、戻ってきたらナースコールを押すこといい?」
「うん!」
まだ10月だけど、マフラにコートを
着て屋上に足を向けた
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