星の数の恋よりも月と同じくらいの恋



異様に長く感じる階段を昇り苦労しながらも
漸く屋上に辿り着いた…



久しぶりに浴びる太陽の光りと風が心地いい…
そして、フェンス近くのベンチに目が
釘付けになった…
茶色のストレートの髪の女の子が
両手を目一杯空に向かって伸す姿が目に止まる…









――近くで見たい…
話してみたい…――









そんな想いが俺の中で駆け巡る…



「隣、いいかな…?」

「えっ…?」




振り向く彼女の姿に
呼吸をするのを忘れた…

















だって、目の前にいる女の子は綺麗だった…
二重で長いまつげにクリクリとした目に
ほんのりと赤い頬をしていたから…





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