星の数の恋よりも月と同じくらいの恋
「君、ここの患者さん?」
「はい」
「そっか」
そんな問い掛けに彼女が答えてくれて
俺は横に座った…
――そうだよな、
患者じゃなきゃ屋上なんて来ないな…
てか、コートの中パジャマだし…――
「ごめんね、急に話し掛けて…」
「全然です…」
彼女は不思議そうに俺を見つめていた…
あえて、前を見てたけど
彼女の視線が気になる…
「俺、悠諳って名前なんだ、君は?」
「わたしは乙香です」
「乙香ちゃんか、可愛いね♪」
何を思ったのか、そんな言葉が出ていた…
「そ、そんなことない…です!!」
「マジ可愛いよ?」
否定する乙香ちゃんが可愛くて
俺は目を真っ直ぐ見つめて言うと
だんだんとさっきより頬が赤くなっているのに気づいた…
そして小さく“トクン”
と、波打つ心臓…
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