勝手にしたらいいじゃない
「サキ、おはよう」
場が凍りついていることすら気付かずアスミはごく普通にサキに話かけた。
「今日はどうしたの?」
「うん、おはよう。ちょっとね。」
さっきまで暴れていたのが嘘かのように、サキはそれに答えた。
「あ、ダメじゃん?また切ったの?大丈夫?かえの包帯あるの?」
また、ごく普通にアスミが言う。だがアスミの顔は無表情だ。声以外は空っぽなんじゃないか?と思わせるくらい暖かみはなかった。
それに対しサキは、心から嬉しそうな笑顔でアスミを見つめている。
「サキ…」
急に低いトーンでアスミが言う。
「周りをよく見て。」
その声に込められていたのは、怒りや悲しみ、恐れや怖じ気、そのどれでもなかった。
「サキ…アンタは何をしてたの?」
「え…あ…アスミに会いに…。」
「じゃあ、この教室はどうして椅子や机が倒れてるの?」
「う…。」