勝手にしたらいいじゃない
「…!…だ…れ…?」

「と…トモミ…。」

教室の後ろのドアに、鞄を抱えたトモミが立っていた。片足の上履きがない。

恐らくその上履きがサキのナイフを落としたのだろう。

「なぁにぃ?朝っぱらから大騒ぎしちゃってさん♪」

ピョコピョコ歩いてアスミのとこまで行く。

「さめたは…あたし…。」

「?…。」

トモミはアスミにしか聞こえない声で言った。

「シナモリチャンみたいにゃなりたくない。」

冷ややかな声。

「…。」

アスミは黙っている。するとサキが。

「何話してるの?アスミ?アスミは私の友達だよねぇ?アスミぃ…しにたいよぉ…しのうよぉ…?嫌だよ…何もっ…かもっ…全部っ…!!」

涙を流しながら血まみれの手をアスミにのばす。その手は次にアスミの白いシャツを掴んだ。

赤が滲んで行く。



ーーーぱしんっ!



次の瞬間、アスミはサキの手を勢い良く振り払った。サキの体が床に崩れる。

気付けけば教室にはアスミとサキとトモミ以外には誰もいなくなっていた。

先生が生徒達を避難させたのだ。きっともう少ししたら先生達が皆来るのだろう。

3人になった教室で、まだ小さく『しにたい』とぶつぶつ呟くサキ声だけが響く。

そしてアスミが口を開いた。
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