コイビトは
周りには何人も友だちがいて、みんな泥だらけで生傷だらけだったけれど、それはそれは楽しかった。


そのころのように、大学で分かり合えるような友だちが欲しかったし、自分のことをわかってくれる恋人もほしいな、と思うようになった。




俺が合格したのは、10の学部が入り、キャンパスには3万人もが通う、マンモス大学だった。
家から電車で2時間。

かなり遠いが、地元に近いところよりも、遠く、俺のことを誰も知らないような場所に行きたかった。

下宿をしなかったのは、お袋を一人で残しておけなかったからだ。
お袋も、もろもろのショックからは立ち直っていたようだが、ときどき見せる憂鬱そうな表情は、それでも俺や周りの人間をかなり心配させた。



それが、一年前の春のこと。
彼女たちと出会ったのは、そこから一年が過ぎた、俺が大学2年生になった、春のことだった。
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