コイビトは
ああ、もう間に合わない――








「…え?」






扉が閉まる。








発車する。




――俺の、終電。












いや、それよりは



「あの、もうすでに彼女とかいたり、迷惑だったらごめんなさい、でも、でも


もし良かったら…というか、何というか…」



原田さんは言い訳をするように、しどろもどろ、うつむきながら言う。



俺は、どう答えたものかと困って、とりあえず、終電が行ってしまったことを伝えようとしたら

(焦っている。そんなこと言われても、彼女だって困るだけなのに)

原田さんは


「良かったら!!!


本当、良かったらでいいから…良かったら…返事、ください」
< 67 / 93 >

この作品をシェア

pagetop