【完】お前の唇、食べていい?
「航はドキドキしたの?」
「するだろー。俺、お前の事好きなんだぞ?」
「そっかあ。ありがとう。私も航のこと好きだよ」
「でもドキドキしなかったんだろ!?」
「だって、ちっちゃい頃にいっぱいしたんだもん。今さらドキドキなんてしないよ」
「えー!?」
「いっぱいした航が悪いんじゃん。いっぱいしなかったら、ドキドキしたかもしれないし」
「俺のせいかよ」
航は地面の雪をザクッと蹴って、掘り起こした。
十回くらいは掘り起こしただろうか。
しばらくその様子をじっと見つめていると、航が何か閃いたように動きを止めた。