【完】お前の唇、食べていい?
「おとといの試合、テレビで見たぞ。一年生からレギュラーなんて凄いじゃないか」
「いや、俺なんかまだまだっすよ」
お父さんの褒め言葉に、でれっとする航。
航が照れてるのはすぐ分かる。
褒められると照れ隠しなのか、頭をポリポリかくんだ。
「あと一回勝てば国立だったのにね。しほりなんて負けた時に、航君が可哀想だって泣いたのよ」
「!!!」
お母さんの言葉に驚いて、私は慌ててお母さんの隣に駆け寄った。
「ちょっと、そんなこと言わなくてもいいでしょ!?」
「別に本当のことだからいいじゃない。ほら、待たせてるんだからさっさと行きなさい」
私はお母さんにシッシと手で追い払われながら外に出た。