【完】お前の唇、食べていい?
航と目が合う。
「よう。久々…だな」
「そだね」
航は私の前を歩き出した。
雪が降り積もった歩道。
私は航の足形をなぞるように後ろを歩く。
ザクザクザク……
「俺、帰ってこなくて寂しかったかー?」
航は振り向きもせず、私に質問をする。
「うん」
「そうなの?その割にはなんも連絡しなかったじゃん?」
「航、練習で忙しいと思って」
「…ふうん。不思議だよな。一番連絡来て欲しいお前からは連絡こないのに、どうでもいいやつらからは連絡くるってさ」
「どうでもいいやつって?」
「ま、いろいろだよ。いろいろ」
航はズンズンと進んでいった。