【完】お前の唇、食べていい?
「なあ」
拝んでいると、航が静かに私に話しかけた。
「俺さ、中学校の時に比べて変わったんだよね」
「何が?」
「んー…高校離れてから、お前のことばっかり考えるんだよな」
「へー……。例えばどんなこと?」
「例えば、飯食ってるとき」
「飯!?」
「うん。梅干し…しほり苦手だったなあって」
「あとは?」
「授業してるとき!しほり、いっつも授業中に教科書のはじっこに、パラパラ漫画書いてたなあ」
「へえ…他には?」
「サッカーの練習してるとき!しほり、隣でソフトテニスの練習してたなあ」
航の言葉を聞くたびに嬉しさが積もる。
なんでだろ?