【完】お前の唇、食べていい?
「他には…まだ、ある?」
「サッカーの試合してるとき。いつも応援席にしほりがいた」
航は少ししゃがんで、私と目線を合わせて、にっこり笑った。
「しほりが、俺の試合見て泣いてくれてたって聞いたとき、すげえ嬉しかった」
「うん……」
私も航を見つめて笑って、頷いた。
「しほり…ちゅうしていい?」
「ん?別に、いいけど?」
「え!?いいの!?よおっし…じゃあ目瞑って!」
「うん」
私はためらいもなく目を瞑った。
ちゅっ
ふにっとした感触の後、可愛い小さな音が聞こえた。
目を開けると、そこには顔を真っ赤にした航がいた。