願わくは…君の右翼に
「今日からこのクラスを担当する三宅彩です。よろしくお願いします。」
三宅先生を見た時驚いた。
私の父のお母さんに見た目がそっくり。
笑った顔なんかがとくにそう。
教室の後ろには保護者、私たちの親がいて、もちろん私の父だっていた。
でも父は自分の母親にそっくりなど微塵も思っていないのか普通の顔をしていた。
私の父は世間で言う“マザコン”だ。
でもそうなるような環境だったからしかたないって言うとしかたない。
私の父は、小さい頃から“お父さん”っていう人がいなかったらしい。
いや、“いない”ではなく“代わる”だったかもしれない。
お父さんがコロコロと代わっていたらしく、とても頼れる母親じゃない。
しかも借金の取り立て屋が家にきたこともあるらしい。
そんな昔から苦労していた父は、弟もいたせいか幼いころから“自分がちゃんとしないといけない”という自立心があった。
だから勉強もしてクラスで上位の方でもあり周りからは“賢い子”として評されていた。