マスカラぱんだ


先生のお見合いの話に、私はお礼の品を渡すように碧に頼んでいたことなど、あっという間に忘れた。

今、私の頭の中に渦巻くのは、先生に結婚して欲しくない想いだけ。

そんな私に、碧の意味不明な言葉が届く。


「でさ、福田。今度の日曜日。俺と付き合ってくんない?」


あと少しで涙を落としそうになった私に、碧が口元にニヤリと笑みを浮かべながら、そう言った。


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