マスカラぱんだ
「あれ?兄貴?お見合いってここだったのか?」
はぁ?碧?と?
どうして?ここに?
碧の声に、驚いて振り返った僕の目に飛び込んで来たのは、信じられない光景。
何故か、今にも泣き出しそうな不安な表情をしている君の姿があった。
何で?そんな顔をしている?
もしかしてまた碧に?何かされたのか?
そんな僕の思いには全く気が付かない碧は、瞳さんの席までツカツカと近寄り、愛想のいい顔をして挨拶をする。
「初めまして。弟の碧です。すみません。お見合いの最中にお邪魔しちゃって。」
「まあ、弟さん?初めまして。瞳です。」
驚きの表情を浮かべながらも、瞳さんは席から優雅に立ち上がると、碧と挨拶を交わす。
その姿を見つめながら僕は、密かに思う。