マスカラぱんだ
これでも僕は、碧の兄だ。
だからこの場所に碧と君が姿を現したことを、ただの偶然だなんて思ってはいない。
僕の頭の中では、警鐘が鳴り響く。
コイツ、何を企んでいる?
「ちょっと碧!あっちで話そう。すみません。瞳さん。少し失礼します。」
とにかく瞳さんから碧を、遠ざけた方が賢明だと僕は考えた。
碧の腕を強引に掴むと、ラウンジを後にして柱の陰に足を進める。
そんな僕と碧の後を、君は俯きながらトボトボとついて来た。
未だに不安げな表情を浮かべる君が、心配で仕方ない。
いいや。それだけじゃない。
僕は君に、お見合いをしている現場を見られたくなかった。
別に隠そうとした訳じゃない。
ただ、正直。君には知られたくなかった。
勝手だな。僕は・・・。