マスカラぱんだ


先生がなんでそんなに、私達を気にするのかわからない。

瞳さんの所に戻らなくていいの?

本当は戻って欲しくなんかないけど。

そんな想いに囚われていた私は、先生の問い掛けに返事をする余裕などない。

碧の背中越しから、先生の様子をチラミ見してみる。

でも、やっぱり先生の顔はさっきと同じ険しい表情のまま。

先生のことばかり気にしていた私は、碧が口にした言葉なんかほとんど聞いていなかった。


「兄貴、俺に謝って来い!って、言ったろ?それで俺は病院で紫乃に謝ってさ。仲直りしたんだ。だからこれから707号室でアレだよな?紫乃?」

「うん。」


ただ私は、碧に言われた通り何度も『うん』と返事をした。


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