マスカラぱんだ
**葵**
上に行ってしまったエレベーターは、なかなか降りてこない。
イライラしながら、エレベーターのボタンを何度も人差し指で叩く。
こんなことをしても、エレベーターの速度が上がることはないと百も承知だ。
だけど、それほど僕の気持ちは切羽詰まっていた。
畜生!
僕はこれ以上エレベーターを待つことが出来ず、急いで階段を駆け上がる。
・・・のは3階まで。
丁度、3階に着いた上行きのエレベーターに、息を切らしながら慌てて飛び乗った。
無理だ。7階まで階段なんかでとても上がれない!
3階までだって、こんなに息が切れるのに。