マスカラぱんだ


**葵**


上に行ってしまったエレベーターは、なかなか降りてこない。

イライラしながら、エレベーターのボタンを何度も人差し指で叩く。

こんなことをしても、エレベーターの速度が上がることはないと百も承知だ。

だけど、それほど僕の気持ちは切羽詰まっていた。

畜生!

僕はこれ以上エレベーターを待つことが出来ず、急いで階段を駆け上がる。

・・・のは3階まで。

丁度、3階に着いた上行きのエレベーターに、息を切らしながら慌てて飛び乗った。

無理だ。7階まで階段なんかでとても上がれない!

3階までだって、こんなに息が切れるのに。


< 115 / 258 >

この作品をシェア

pagetop