マスカラぱんだ
もう嫌!
先生が瞳さんの話をするのなんか、聞きたくない!
先生!私の前で、他の女の人の話なんかしないで!
私の中で、嫉妬の炎がメラメラと音を立てて、燃え上がったのがわかった。
こんな気持ちになったのは、初めてだった。
だからまさかこんなことを、先生に言ってしまうなんて。
自分自身が一番驚いた。
「先生のバカ!だったら結婚の話を断わらなければよかったのに!『瞳さん』なんて呼んじゃって!私のことは『福田さん』って、呼ぶくせに!どうして?どうして先生は私のことを『紫乃』って、呼んでくれないの?」
自分でも、メチャクチャなことを言っているのは、わかった。