マスカラぱんだ
Drop*7

**いきなりキス?**



**葵**


部屋から出ようとした君を、思わず抱き締めてしまった。

でも、僕の腕の中で抵抗をしない君に愛しさが溢れる。

君の温もりを感じた僕は、大人げなく燻ぶっていた想いを白状した。


「僕だって碧が『紫乃』って、呼び付けするのが気に入らなかった。ずっと我慢をしていたのは僕の方だ。」


そうだ。僕はずっと我慢をしていた。

自分はおっさんだから。とか。

君はもしかしたら、碧のことを好きなのではないか。とか。

でも、もう僕は我慢なんかしない。

だって君に対するこの想いはもう、止められないのだから。

僕の腕の中の君の顔を覗き込むと、瞳に溜まった涙をポロポロと溢し始めた。

この涙は何の涙かな?

こんな風に儚げに涙を流す君を見つめていたら、これ以上自分の気持ちを隠すことは出来なかった。

君に届くようにと願いながら、自分の想いを口にする。


「紫乃ちゃん。好きだよ。」


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