マスカラぱんだ
「葵先生は、おっさんなの?」
「紫乃ちゃんから見たら、おっさんじゃないのかな?」
「じゃあ、葵先生から見たら、私なんか子供過ぎるんじゃないの?」
「子供には、キスしたいと思わないよ。」
先生の言葉で私は、さっきのキスをひとり思い出す。
甘く優しかったキスに、また私は頬が火照るのを感じた。
やだ。私ったら。恥ずかしい。
そんな私に先生は、最高の笑顔で素敵な言葉を贈ってくれた。
「大事にするよ。紫乃ちゃん。」
もうさっきから、胸がドキドキしっぱなしで痛いくらい。
言葉だけでも嬉しいのに。先生はもう一度、私の唇に誓いのキスをしてくれて。
私はまた、嬉し涙を流した。