マスカラぱんだ


**葵**


おかしくなりそうだった。

君が可愛すぎて。愛しすぎて。堪らない。

腕の中にいつまでも、包み込んでいたい気分になる。

そんな僕の顔を、上目づかいで見つめながら可愛い君が言った。


「葵先生?お礼があるの。受け取ってくれる?」


お礼?

君は恥ずかしそうに僕の腕からすり抜けると、鞄が置いてあるソファに向かって小走りをする。

そして鞄の中から銀色の袋を取り出すと、僕に向かってそれを差し出しながら可愛い声でこう呟いた。


「葵先生。入院中はありがとうございました。汚しちゃったから新しいのを買ったの。使ってね。」


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