マスカラぱんだ


高い場所は平気なんだ。

ただ、真っ逆さまに落ちて行く感覚と、スピード感が苦手なだけで。

さっき、乗った絶叫マシーンを密かに分析していると、君の声が耳に届いた。


「葵先生?後は、ゴーカートに乗って、それからお化け屋敷は?大丈夫?」

「お化け屋敷は大丈夫。紫乃ちゃんは?怖くない?」

「お化けは怖くない。私が怖いのは、葵先生に嫌われること。」


ん?意味がわからない。

僕が?何で?君を?嫌いになる?

今まではしゃいでいた君が、急にシュンとして俯いてしまった。

そんな君を目にしたら、心配で胸が潰れそうになる。


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