マスカラぱんだ
この部屋の広さは10畳くらい?ううん。もっと広いかも。
机の横の本棚には難しそうな参考書がずらりと並んでいて、その隣には参考書と同じくらいの漫画やCDの数々。
そしてクローゼットに入りきれないほどの服とキャップが目に入った。
物で溢れ返っている部屋を見回している私の隣に、碧も腰を下ろす。
突然縮まった距離に、思わず碧を意識してしまった私。その時。それは起きた。
私の腰に回った碧の手。そして徐々に近付いて来る碧の顔。
その意味を理解した私は、無言で瞳を閉じる。
彼氏の部屋でふたりきりで交わすキスは、恥ずかしいけれど嬉しい。
でも、その嬉しさがすぐに戸惑いに変わった。