マスカラぱんだ


**葵**


君を泣かせてしまった自分に、腹が立った。

大事なのに。

好きなのに。

愛しいのに。

自分の不甲斐なさを、身に沁みて感じる。

そんな情けない僕に向かって、君は天使のように救いの手を差し伸べてくれた。


「葵先生?私も葵先生の笑顔が好き。だから今は泣いて。葵先生は泣いてもパンダにならないけれど、私が葵先生の涙を拭いてあげるから。ね?だから泣いて。そして涙が枯れたら・・・笑って?ね?」


君の優しい言葉で、やっと僕は気が付いた。

そうだ。

僕の心は、涙を求めていたと・・・。


< 220 / 258 >

この作品をシェア

pagetop