マスカラぱんだ
小さな女の子を、助けることが出来なかった自分。
そしてそのことを、いつまでも受け入れられずにいる、情けない自分に必要なのは涙だった。
「紫乃ちゃん。ありがとう。」
僕は自分よりも、はるかに幼い君に寄り添い、肩を震わす。
込み上げる涙を我慢せずに、君の温もりに包まれて、僕は枯れるまで泣き続けた。
優しい君の指が、何度も僕の流れる涙を拭ってくれるのを感じながら、瞳を閉じる。
もう、目を閉じても、冷たくなってしまった少女の姿は浮かんでこない。
その代わり、僕の瞼に映るのは君の姿だけ。
可愛い笑顔の君に見守られながら、僕は深い眠りに引きずられた。