マスカラぱんだ


すがる思いで、流れる涙を拭うとカーテンが開く様子を見つめる。

廊下の僅かな灯が、開いたカーテンから差し込み、その人物の背後を照らした。

それはまるで、後光がさしたように私の目に映った。

きっと痛みに苦しむ私を助けに来てくれた、神様に違いない。

思わず手を合わせ、拝みたい気分になった。その矢先。

明るさに目が慣れた私は、ようやく気付く。

目の前に姿を現したのは、神様ではないことに。

私のすがるような思いを、まるで聞いていたかのように姿を現したのは、白衣を着た碧のお兄さんだった。

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