マスカラぱんだ
Drop*3
**いきなり個室?**
**紫乃**
眩しさで目が覚めた。もう朝か。
目覚ましが鳴る前に起きられるなんて、すごくない?
そんなことを考えていた私は、ようやく気が付く。
ここはいつもの自分の部屋じゃないことに。
そうだった。私はお腹が痛くて。気が付いたら病院で。
ベッドの上で昨日の出来事を思い出す。
ママが帰ってから目が覚めて。またお腹が痛くなって。泣いたよね?私。
それから。それから。そうだ!碧のお兄さんが!
白衣を着た碧のお兄さんが、救世主のように私の目の前に現れてくれたんだ!
あれって夢?
でも確かにベッドの横に置かれているのは、先生から借りた腕時計。
どっしりとして、いかにも高級そうな、その腕時計を見つめながら確信する。
あれは夢じゃない!