マスカラぱんだ


どれくらい放心していたのかわからない。

でも、突然湧き上がった不快感に、身体が拒否反応を起こした。

天井から視線を移した私の目に飛び込んで来たのは、シャツとブラを捲られた胸に、イヤらしい舌を這わせる碧の姿。

碧を好きだという思いがガラスのように脆く、私の心の中で砕けていくのを感じた。

嫌だ。私、この人を好きじゃない。私は碧を好きじゃない!

嫌。嫌!嫌!!

息を大きく吸い込むと思いっきりお腹の奥から声を出し、叫ぶ。


「嫌ぁ!止めて!」


こんなところで好きじゃない人に、私の初めてを奪われるのは絶対に嫌!


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